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入船亭扇治通信 2016.3   

2016年 03月 31日
 年明けのご挨拶から、またすっかりご無沙汰してしまいました。申し訳ございません。春を前に寒い日が続きますが、皆様お変わりございませんでしょうか。
 私共の業界に限らないかもしれませんが、「選挙のある年は仕事が動かない」という傾向があります。国や自治体・企業の先行きが見通せないところから、イベント関係は見送るところが多いのがその一因でしょうか。個人的にもとても静かな年度替りで、寄席の代演あったら声かけてねーと落語協会の事務局に頼んでみましたが、ほかも皆同じなのでしょうね、13日・20日の2日末廣亭12時ころの出番を辛うじてゲットしました。
 こういう時こそ、天がくれた貴重な時間とかねてからの懸案事項を片づけたり稽古や会の企画・創作のなど有意義に過ごすよう前向きにいこうと思っております。そのひとつとして、56回目を数えます文治師匠との二人会では久々の『厩火事』を、 また新しく作り直した高座にかけてみます。夏の余一会がありますのでそこを軸に、池袋では回数を少し絞って内容をさらに充実。『扇治の道も一歩から』を間にはさんで開催していく予定です。ともども、よろしくお願い申し上げます
 さて前段の話題に戻りまして、自宅での晩酌の折り「あぁヒマだなぁ」と愚痴っておりますと私よりはるかにポジティブ人間の愚妻から「なに贅沢なこと言ってんのよ、5年前のこと思い出してシャンとしなさい!」叱られました。そうですね、東日本大震災当時は仕事がヒマどころか噺家なんてやってていいのかと足が地に着かない日々を送っていたのが、人間喉元過ぎればすぐ油断してしまうものです。気仙沼やいわきに伺うたび、復興の難しさというもの改めて感じるとともに、微力ながら落語を通じて発信していくのが噺家の仕事と肝に銘じ、節目の年また一歩ずつ進んでまいります。よろしくごひいきのほどを。
入船亭扇治

by irifunetei_senji | 2016-03-31 00:00 | 入船亭扇治通信