カテゴリ:入船亭扇治通信( 124 )   

入船亭扇治通信(第85回)   

2011年 09月 30日
 残暑やゲリラ豪雨で秋の風情はまだまだですが、庭に住み着いたコオロギの音に季節の移ろいを感じます。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 毎年恒例となりました道東の旅、今年も呼んでいただきました。15回目となる留辺蘂図書館と、6度目となる置戸生涯学習情報センター、両館とも担当司書の方が異動になったりと現場は大変だったのでしょうが、8月25日~29日の日程で催してもらえました。
 現地ではもう夏休みは終わっていますが東京からするとオンシーズンの北海道、料金が高いのは承知で旅行会社へ交通の手配に行ったら何と! 混んでいるのです飛行機が。まず25日女満別行きは最終便しか取れず、しかも満席(いつもガラガラの北見行き空港バスも満員でした)。帰りの便にいたっては女満別発が29・30日ともいっぱいで、31夕まで空席無し。旭川・札幌も同様で、15年目にしてこんなことは初めて。春の旅行を自粛した方、節電の東京を脱出する人、東北で大会や合宿の場所が取れなかったスポーツ関係の皆様が集中した結果のようです。
 2日間足止めかな……とあきらめかけたら、札幌から団体枠の空席を使えば29日中に帰京出来るとのこと。久しぶりに特急オホーツクにごとごと4時間、車窓からのぞむ原野や道中食べた遠軽名物かにめしなどで、結果的にゆったり楽しい旅行になりました。
 今回伺う世田谷の中央図書館など、おかげさまで本に囲まれての図書館寄席、少しずつ拡がっています。全国色んな図書館を見てきましたが、外観の美しさ、蔵書とスタッフの充実、地元の方に愛されていることNo.1は私の中ではやはり留辺蘂図書館でしょう。あの素敵な図書館のある町へ、またいつか里帰りできますように……。
扇治
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by irifunetei_senji | 2011-09-30 00:00 | 入船亭扇治通信

入船亭扇治通信(第84回)   

2011年 08月 31日
 梅雨に逆戻りしたような陽気や、局地的な豪雨などで油断のできない夏。皆様お変わりございませんでしょうか。
 7月中席は末廣亭夜の部の早いところに入れていただきました。新宿はよほどのことがない限り私にとっては徒歩圏で、今回も10日間歩いて通勤。早めのお風呂でさっぱりしてから4時頃家を出て、楽屋口まで約40分。ちょうどいい運動です。のんびり歩けばそう汗もかかないもんだなあと呑気に構えていた6日目、この日は都合で昼の3本目に上げてもらうので、いつものつもりで11時30分から歩き出したらいやその暑いこと! 数歩行っただけで滝のような汗で目がくらみました。
 私は夏が好きで暑さはそんなに苦にならないので、頭でわかっていながら全然意識していませんでした。当たり前のことですが「夏の昼間の日差しはすごい! 11時から2時までが一番暑い! てっぺんに来ているお天道様を甘くみちゃいけない」……。この歳まで生きてきて、初めて体感した次第です。
 皆様も用があって外出なさる時はできるだけ涼しい午前中か夕方に。お目当ての落語会などで昼お出かけの際は、暑さ対策を充分になさって下さい。
扇治
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by irifunetei_senji | 2011-08-31 00:00 | 入船亭扇治通信

入船亭扇治通信(第83回)   

2011年 07月 31日
 暑い日が続く候となってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 今夏は限られた電力供給と正面から向き合わなければいけない季節です。様々な節電方法や涼を取る商品が紹介され、巷でも意識が高まってきました。皆が冷房や照明を控えている分、繁華街でも、室外機からの熱風と不必要な明かりが減って、昔のような“心地よい暑さ”に少し戻った気がします。

 まだまだこれから厳しくなる夏ですが、今はやっている涼感商品のうち、自分で試してみて満足度が高かったものを2点、ご紹介させて下さい。
 まずおすすめは、ポット型浄水器。二日酔いやら何やらで水を飲む機会は多いのですが、市販のミネラルウォーターは買って来る時重いのとペットボトルの処理が結構煩雑で、水道水もまずくはないけどちょっと後味がなァ……というので、以前から欲しかった商品ではありました。
 これからは防災用品としても必要だからと自分を納得させ、新宿の家電量販店に出かけたのですが、その品揃えの豊富なこと! ただでさえまとまった買い物が苦手な私は、こっちがいいのか、いやこれの方が効率がいいかと比較検討しているうちに目まいがしてきて、店員さんに「大丈夫ですか?」と心配されました。そんな購入の苦労に充分見合うだけのおいしい水を毎日手軽に飲んでおります。自信を持っておすすめする次第です。
 もうひとつはズバリ商品名を出しますが、タカラトミーの『ビールアワー』。缶ビールに直接取り付けて注ぐだけ。モーターの働きでガスを使用しなくても生ビールの味わいになるという優れ物。世のお父さん方に10万台の大ヒット。これも銀座の博品館で見かけてからずっと恋いこがれていた品、このたび思い切って大満足! 飲んでおいしいだけでなく注ぐのも楽しいので、我が家では子どもに交替で注いでもらったりして、ビアホール気分を満喫しております。もちろん、飲み始める前は庭に打ち水をして……。
 心の豊かさでうまく暑さとつきあいながら、楽しくこの夏を乗り切りましょう。
扇治


※ビールアワー、リンクを追加してみました。ご興味のある方はどうぞ。僕も欲しいかも……。(管理人T)
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by irifunetei_senji | 2011-07-31 00:00 | 入船亭扇治通信

入船亭扇治通信(第82回)   

2011年 06月 30日
 例年より早い梅雨入りに台風の到来。雨の多い季節、皆様食中毒にはくれぐれもご注意を。被災地に二次被害が出ないこと、祈念しております。
 黒門亭でやりました『甲府い』に、大変好意的なご感想をお寄せ下さったお客様、ありがとうございます。ついつい自分の芸に疑問を抱きがちな今の状況の中、何より励みになるお言葉でした。本来ならすぐ返信すべきところ、私の無精から管理人さん任せなので申し訳ありません。先日にっぽん丸船上でパソコン教室に出たり、少しずつ下地は整えつつありますので、我が家のIT革命まで今しばらくお待ち下さい。
 さて、あまり科学的ではありませんが雨男とか晴れ女の話題です。私は結構強力な晴れ男を自負しておりまして、自分の会等の時は降っていても始まる時には小康状態という時が何度もあります。そのかわり、会場へ向かう途中もっとも雨脚が強くなるジンクスもございまして、ついこの間も東中野~成田東を往復してずぶ濡れになりました。
 まぁ、極端に晴れた、降ったという印象は記憶に残りますから、そこから雨男なんてのも言われ出したのかもしれません。天気に関する話で思い出すのが、大好きなジェローム・K・ジェロームの小説『ボートの三人男』(丸谷才一・訳)に出てくる“天気予報をする老人二態”。今日の天気はと聞かれて「うん大丈夫、今は少し雲があるが午後からは必ず晴れる。わしゃ長いこと空を見てきたからわかる、今日は絶対上天気!」と言い切ってくれるお年寄りはとても頼もしい。もし予測が外れて雨が降り出しても、「まァいいや、あの老人もベストを尽くしたんだ」そう思える。
 逆に、仔細ありげに空を眺めて「こりゃ降ってくるなァ。ちょいと薄日が射しちゃいるが、わしの経験だとこりゃ長もちしない。じきにきっと雨になる」と言われてその通り天気が崩れると、「愛想のないじいさんだ。あいつが雨を降らせてんじゃねえか」腹が立ってくるという……。天気と人間心理、不思議なものです。
 梅雨空でも心は明るくカラリ、晴れ晴れと前向きに参りましょう。
扇治
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by irifunetei_senji | 2011-06-30 00:00 | 入船亭扇治通信

入船亭扇治通信(第81回)   

2011年 05月 31日
 今年の桜は耐えて耐えて花開き、潔い散りぎわで我々の目を楽しませ気持ちを和ませ、生きる勇気をくれたのではないでしょうか。
 震災発生から年度がかわって2ヶ月目、ようやく少し落ち着いてその全容を考えられるようになってきました。被災地復興にしても原発の収束にしても、当初思ったよりずっと長い時間をかけて取り組んでいくべきことなのだなと、身にしみて思います。これからの日本は、戦後追い求めてきた物質的・経済的な豊かさだけでなく、精神的な実りも豊かにできるよう、心がけていくことが必要でしょう。
 その少しでもお手伝いになればと“本と落語の素敵な関係”を楽しくお届けする「図書館寄席」の企画、今まで以上に積極的に進めていきたいと思います。司書資格を持つ噺家ならではの番組を作って、まずは手弁当で伺いますので、全国の関係者の皆様どうぞお気軽にお声がけ下さい。

 落語協会では、長期的な視野に立っての「復興支援寄席」を行ってまいります。入場料は全額義援金または活動支援金として、しかるべき機関を通じて寄付いたします。11日以降は私もお手伝いに行っている時もありますので、皆様ぜひお出かけ下さい! 以下、現在決まっている番組お知らせします。よろしくどうぞ。
扇治

5日(木)9:30~11:00『志ん生生誕121年』
於)鈴本演芸場
出)志ん橋・馬生・世之介・菊生

11日(水)10:00~11:30『新作の会』
於)池袋演芸場
出)円丈・小ゑん・白鳥・小三治(ご挨拶)

15日(日)10:00~11:30『じっくり技巧派』
於)池袋演芸場
出)小はん・小満ん・小燕枝・今松

21日(土)9:30~11:00『柳家一門会』
於)浅草演芸ホール
出)小さん・さん八・市馬・花緑

28日(土)9:30~11:00『林家一門会』
於)浅草演芸ホール
出)種平・正藏・たい平・たこ平・ぺー・紋之助・小三治(ご挨拶)

※いずれも料金1000円当日売りのみ。
お問い合わせは03-3833-8563落語協会まで。
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by irifunetei_senji | 2011-05-31 00:00 | 入船亭扇治通信

入船亭扇治通信(第80回)   

2011年 04月 30日
 今回の大震災でご自分が、ご家族が、ご親戚が、お友達が、お知り合いが被害にあわれた方。避難所で、原発の屋内退避圏内で、圏外でも風評被害や物資不足、物流困難で耐乏生活を強いられている皆様。電力不足や必需品の品薄で困っている首都圏の方々。災害現場で救助作業に放射性物質の封じ込めに従事している人たち。
 申し訳ございません。私はまだ何もしていません。していないどころか、まだ震災の全容が明らかになる前は「仕事がキャンセルになると困るな」と自分のことを真っ先に心配しました。家族のためと言い訳しながら、トイレットペーパー、ティッシュ、ミネラルウォーター、食料品も直後に買い足しました。我ながら小さい人間だと思います。
 でも、それに気付かない、恥ずかしく感じない、そこまで落ちてもいないつもりです。まず自分にできるところから、今からでも始めていきます。高座がいただける時は、精一杯お喋りします。
 これから復興に向かい、また私の噺を聞いていただけるときは、今まで以上に本物の話術・真剣勝負の話芸が求められてくることでしょう。それに備えて、落語の体力もしっかりつけておきたいと思います。皆様の胸に、少しでも明るい灯をともせる噺家を目指して。
扇治
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by irifunetei_senji | 2011-04-30 00:00 | 入船亭扇治通信

入船亭扇治通信(第79回)   

2011年 03月 31日
 厳しかった冬も、少しずつ春の兆しが感じられる候となりました。皆様お変わりございませんでしょうか。
 今年に入ってから久しぶりに、八王子車人形西川古柳座の方々とご一緒させていただく機会が続きます。2月には地元の芸者衆を交えての華やかな舞台があったばかり。今月はお稽古場(といっても、80名は入れる立派なところです)の2日間。
 とにかく研究熱心で、説教節・義太夫だけでなく色んな分野とのコラボレーションを模索している現家元から、落語でやりたいからとお話をいただいて初めての作品が『野ざらし』。普段ひとりで勝手にやっている噺家が、多勢の座員・スタッフの方とひとつの舞台を作り上げ、旅に行き、打ち上げで呑み明かし……。とても新鮮な体験で、後々の高座にも大変良い刺激になりました。
 それから長いおつきあいをさせていただいておりますが、今回は初共演の思い出深いお稽古場で、演目もそのときと同じく『野ざらし』、二ッ目以来の再演です。台詞がやる度微妙に違ったり、人形を遣う方々はさぞやりにくいかと思いますが、できるだけ車人形の素晴らしさを引き立てられるよう努力しつつ、一座のパワーを吸収したいと思います。高尾駅から車で10分ほど、今回この場所に限らず初めてのお客様、ぜひ西川古柳座の至芸に触れてみて下さい。
扇治
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by irifunetei_senji | 2011-03-31 00:00 | 入船亭扇治通信

入船亭扇治通信(第78回)   

2011年 02月 28日
 平年より寒い日が続いて空気がカラカラ、インフルエンザも流行してきました。皆様変わりございませんでしょうか。
 年末から年始にかけての話題のひとつは、何といっても「タイガーマスク=伊達直人」現象でしょう。連鎖的に続いている児童福祉施設等へのプレゼント。一種の愉快犯という面もあるから手放しでは喜べない。
 施設の現状や子どもたちが本当に必要としているのは何か理解しているのか……といった辛口の意見もありますが、ここはやはり久々の明るい話題と、素直に歓迎すべきと私は思います。
 タイガーのほかにも星飛雄馬・矢吹丈など色んなキャラクターの名で贈り物が届けられていますが、ぜひ落語ファンの中から出てきてもらいたいのが『文七元結』の長兵衛。夜中に施設の表で音がするので職員の方出てみると、街頭のもと向こうへ走り去っていく着物を着た職人態の男。玄関先に置かれた包みには「本所達磨横町 左官の長兵衛より」という貼り紙が……。
 世知辛い現代に咲いた善意の花、一過性の流行に終えることなく大切にしていきたいですね。私も落語を通じて自分の子も含めた次世代の人たちに、何かを残してあげられるよう精進いたします。よろしくお願い申し上げます。
扇治
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by irifunetei_senji | 2011-02-28 00:00 | 入船亭扇治通信

入船亭扇治通信(第77回)   

2011年 01月 31日
 昨年の正月に較べ、ほどほどの寒さで良い年明けかと思います。謹んで新年のお祝いを申し上げます。
 寅の年男から、今年は兎の年にふさわしく「跳ねる」扇治をテーマに。人にやっていただく会のほか、勉強の場がこれまでは年3・4回池袋演芸場だけでした。
 今年はもっと積極的に他会場での高座をふやしていきます。具体的には久しぶりのなかの芸能小劇場、自分で借りて使ったことのないお江戸日本橋亭や落語協会事務所2階など。池袋は看板と受付、前座さんとお囃子さんすべてついていたので楽は楽なのですが、ついついそれに甘えがちでした。二ッ目の頃はもっとやっていたはずの手作りの会、少しずつでも輪を広げていけたら……。
 還暦ではなくとも、干支をひと回りするとやはりひとつの区切り。12年前の自分を思い出しながら、また新たなスタートを切ります。これまで以上のごひいきお引き立て、ご指導ご鞭撻、お願い申し上げます。
扇治
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by irifunetei_senji | 2011-01-31 00:00 | 入船亭扇治通信

入船亭扇治通信(第76回)   

2010年 12月 31日
 早いものでもう師走。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 先月は9日~26日まで、学校公演で九州を廻ってきました。福岡県行橋市を中心に主に小学校対象、それぞれに特色があり、反応も様々ですがどこもよく聴いて笑ってくれました。
 中でも記憶に残ったのが、長崎県大瀬戸町からフェリーで40分ほど行ったところにある池島の小・中学校。大きな炭坑があった頃は1900人の子どもたちがいたそうですが、2001年に閉山になってから人口は激減し、今では小中合わせて生徒数は7人。それでも大変に歓迎していただき、「島でこういう催しは滅多にありませんから」と校長先生自ら椅子を並べて下さった会場には、栄養士さんまで含めて職員総動員。自由参加で近隣の方にも多勢お越しいただき、なごやかなうちにおひらきとなりました。
 島内には、食料品・雑貨・衣類を扱う小さなスーパー、予約があるときだけ開ける食堂があるだけ。でも子どもたちは前向きに明るく暮らしていると思いました。その子らの記憶に少しでも残る学校寄席だったら、とても嬉しいことです。
 色々な経験を生かしつつ、新しい年に向かってまた精進いたします。年おとこの1年のごひいきありがとうございました。
 来年もよろしく、お願い申し上げます。
扇治
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by irifunetei_senji | 2010-12-31 00:00 | 入船亭扇治通信