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入船亭扇治通信 2012.9.12   

2012年 09月 30日
暑い…と言ってもしょうがない、なお暑苦しくなるだけとわかっていてもつい「暑い!」口に出てしまう日が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 本当ならもっと早く新しいコメントをアップするべきだったのですが、北海道から帰って残暑と呼ぶにはあまりに厳しい東京の日差しにすっかり体がまいってしまい、ご無沙汰の段お詫び申し上げます。遅くなりましたが、その道東の旅の報告、おつきあい下さい。
 こちらの真夏日にやられたくらいだからあちらはよほど涼しかったのだろうとお思いかもしれませんが、8月25~28日私のいた間の北見市は連日30度以上、湿度も高く日中は東京とあまり変わりません。でも夜になるとさすがにしのぎやすく、少し楽を覚えた体に今の暑さが応えたという事はあるでしょうね。
 さて、今年で第16回目となる留辺蘂町の図書館まつり。第1回からずーっと呼んでいただき、私の中では北の大地への里帰りとしてすっかり定着しております。若年層を中心に人口流出が進み、合併した北見市との関係・温泉地域の再開発などさまざまな課題が地元の方々にはあるわけですが、8月26日祭り当日にはたくさんのお客様で賑わい地域に溶け込んだ図書館の底力、あらためて感じました。ぜひまた来年も呼んでやるかといわれるよう、一生懸命勉強しておかなくては…。
 16年うかがっているとは言っても、ほとんどが夏の決まった時期に数日滞在するだけですから、まだまだ私の知らない町の一面はたくさんあって、毎回が新しい出会いと発見の連続です。今年ですとかねてより行ってみたかった「山の水族館」を観られた事、大きな収穫のひとつでした。以前からの淡水魚専門館が道の駅隣接の観光スポットとしてリニューアル、全国の有名水族館を手掛けた有名プロデューサー監修のもと7月上旬に再オープンしたばかり。当初1年間の目標入場者数5万人を目指していたそうですが、開館一か月でそれを軽々とクリア。夏休みの時期には、こじんまりした館内に1日5000人の方が訪れたそうです。たとえるなら池袋演芸場へ、いちどきに武道館なみのお客様が詰めかけたといったところでしょうか。限られたスペースを最大限に生かし、見やすく配置された水槽で泳ぐイトウやヤマメたち。冬季には屋外に張り出した水槽の表面が凍り、冬眠中の魚の生態も間近に観察できるなど、もう一度来たいと思わせる魅力のある留辺蘂の新名所。皆様も道東にいらしたら是非、お立ち寄りください。
 もう一つの新しい出会いは、町民の方々の学習事業サークル「夢華(むか)大学」メンバー皆様と知り合えたこと。2席おつきあいいただいた後懇親会で盛り上がり、また次の機会をと嬉しいお言葉を頂戴しました。2001年私の真打昇進の折には地元の銘木で作ったミニ臼を記念でいただいたのですが、その作者の方が大学のおひとりと聞いてびっくり。10年越しのお礼を申し上げるより先に、また新たに素敵な花器のプレゼント。末永く年輪を重ねる関係を続けていきましょうとの身に余るご挨拶に、ああまた来年も留辺蘂に来たいな…しみじみ思った次第です。
 人口7000人強の町民の方々、16年間お邪魔してもまだまだお会いしてない・私の噺を聞いてもらってない人の方がはるかに多いわけです。どこへ何度呼んでいただいても常に初心忘れず、新しいお客様との出会い大切にしていきたいものです。「裏の返る…また次も呼んでもらえる芸人になるように」、先代の桂文治師匠はお弟子さん方に常日頃からそう教えてらしたと伺いました。その門下から新しい文治が誕生し先日披露目に行ってまいりましたが、その話題はまた次回。皆様お身体お大事に、お過ごしください。
入船亭扇治 拝

by irifunetei_senji | 2012-09-30 00:00 | 入船亭扇治通信